【製造業管理者必見!】なぜ製造業の改善提案が出ないのか?

生産性向上のカギとなる改善提案。

製造業の現場では、「改善提案を出しましょう!」と言っても、なかなか提案は出てきませんよね。

私も管理職だった時、部下からの改善提案が少ないことに悩んだこともありました。

この記事では、製造現場からどうしたら改善提案を出してもらえるか?を紹介します。

この記事を書いた人

  • 当ブログ「アキシブログ/AKISHI blog」の管理人
  • 産業機械メーカー(中小企業)の管理職を22年経験
  • モノづくり現場の人材教育、生産性改善などのセミナーで講師を務めています

この記事を読んで欲しい人

  • 製造業の管理者や作業者
  • モノづくり現場にて改善提案が少なくて悩んでる人
  • 改善提案を出したい人
  • 企業の改善提案を推進している人
  • 生産性向上のため改善改善提案を出してもらう仕組みを構築したい人

製造業の改善提案とは

まずは職場内で定義が違うと話がかみ合わなくなるので、職場内では定義を確認して話をしましょう。

改善とは現在行っている作業などのやり方や職場の問題点を生産現場などが自ら発見しより良い方法を見つけ出し、現在の問題点を解消して能力や、その他の諸量の向上を図ることです。

ちょっと難しいのでですね。

改善とは「より好ましい・望ましいものへ改めること」というくらいのシンプルな定義にしましょう。

aki

「より好ましい・望ましいものへ改めるため」の提案が改善提案になります。

改善の種類

  1. 安全(危険個所)に関する改善
  2. 品質に関する改善
  3. コストに関係する改善
  4. 納期に関係する改善

などがあります。

また、それぞれを4M(人、物、設備、方法)で捉えることにより、さらに細分化されます。

日本では①から検討していく企業が多いですね。

①安全第一、②日本品質(高品質)③改善によるコストダウン④物流改善などというこになります。

なぜ、改善は出てこないのか?

部下や現場作業者が改善提案をたくさん出してくれないと改善活動を推進する管理者は困ります。

ではなぜ、改善提案を出さないのでしょうか?

改善推進者

改善提案って、なかなか出してくれないいんだよね。

そもそも現状の作業を問題と考えていない

新入社員や真面目な人、その作業に慣れてしまった人が、これに当てはまります。

指示されたことが、すべて正しいと思い込んで、本来の最終目的を達成するための手段が目的になりって、何も疑いもなく作業を続けてしまうタイプです。

もちろん指示は正しいですし、指示通り作業することが大切です。

しかし、疑いを持つことや視点を変えなければ改善を出すことは難しいでしょう。

この場合は、基本的な問題点の考え方の教育を行い、他の作業を経験させることや、客観的に作業を見せることで、改善を促します。

改善が出せる環境を作ることが良いでしょう。

書類として改善提案を出す気がない

製造現場でよくあることですが、「提案を用紙に書いて出すことがめんどう」や

「字を書くことが嫌い」などという人たちがいます。

この人たちは改善を行うことはできるが、記録を残すことが苦手な人たちです。

改善されれば記録は必要ない企業もあるかもしれませんが、多くの企業は記録を残して、それらを活用します。

「めんどう」や「嫌いは」性格的な問題なので、なかなか対策は難しです。

まずは、第三者が記録を残す(代筆する)ことでも良いでしょう。

また、改善提案用紙の様式を工夫することで、出来るだけ字を書かずに提案を出せる仕組みも検討しましょう。

改善前、改善後を写真のみとし、それに名前を書いてもらうだけならどうでしょうか?

きれいな様式でなくても、まずは提案を記録に残すことを考えてみてください。

会社や仕事に前向きではない

改善提案書は悪口を書くものではありません。

仕事に前向きでない人は、悪口は出ますが、それで終わってしまいます。

問題提起型ならまだしも、仕事の愚痴を書かれては処理する方も大変です。

人の性格を変えるのは難しいですが、悪口でも問題提起と考え、その意見を管理者が改善提案に変換することをまずはやってみて欲しいです。

それを続けていて、その人に変化が見られれば良いですが、なかなか人は変わりません。

次の手としては、2:6:2の法則の6の部分を動かすかになります。

人が集まると、2割(良い):6割(普通):2割(悪い)になるという法則ですが、6割の普通を2割の良いに近づければ、2割の悪いが減少するとも言われています。

ですので、6割の普通を前向きにさせることができれば残り2割もある程度それに引っ張られることができるかもしれません。

これは組織風土を変えていく大きな取り組みになります。

ただ、どうしても前向きでない人が残ることはあるでしょう。

その時は、あきらめることも重要です。

aki

組織風土の改革はかなりハードルが高い内容です。

近いうちに記事を書いて紹介します。

忙しすぎる

仕事や時間に余裕がないと改善提案は出しにくいです。

常に目の前の作業に追われ、アッという間に一日終わってしまい、疲れ切って帰宅することが続けば、改善提案は出ないでしょう。

仕事のコントールができない立場の人ならば、管理者がその人達にある程度の余裕を与え、考えれる時間を作り様子をみてください。

それで改善提案され実行した時に次の忙しさを緩和されるなら、さらに改善は進むはずです。

恥ずかしい、遠慮する

これは完全に人の性格の問題ですが、管理者のフォローである程度は何とかなります。

パート従業員や内気な人に多いのですが、管理者が背中を押すことで提案を出すようになることもあります。

他の同じような立場の人などの提案の事例をだして、何でもいいので一度提案を出してもらい、フォローする。

切っ掛けを作ることで慣れてくれることになれば継続するでしょう。

作業者や部下のフォロは管理者の重要な仕事です。

改善提案は管理者(上司)しだい

世の中にはいろいな人がいます。

その人たちがすべて自分とは違う考えだと捉え、管理者(上司)が積極的にフォローすることが大切です。

改善提案を出したことに対しての対価

改善を評価して賞金を出す企業は多くあります。

この賞金の意味を間違えると企業も従業員もどちらも改善は続かなくなります。

それは、金額の大きさです。

金額を一律にした場合、改善の効果とのアンバランスが起きて、改善内容が低いものが多くなることがあります。

「数打てば当たる」とも言いますが、良い提案を出そうという気は薄くなりがちです。

金額が高額では企業が持たないでしょう。

また、最近では税務調査も厳しく、もらった側もサラリーマンなのに賞金で確定申告しなければならなくなるなんてこともあり得ます。

では、効果の〇%をお金にするというのはどうでしょうか?

これは金額で表しにくい安全に対する改善や、予防処置のような場合、効果金額がわからないと〇%が出ません。

では対価は無し???

これもやる気は無くなりますよね。

本来、賞金などの金額は副賞で、改善提案書を出した人を誰もが認める仕組みがあると良いでしょう。

会社や組織、上司同僚から認められることは、承認欲求が満たされるわけで、それで人は幸せを感じます。

人が幸せを感じる仕組みを作るべきでしょう。

aki

賞金を与えることが認められたことと認識出来ればいいですが、賞金だけが一人歩きする仕組みは長続きすることは難しですね 。

まとめ

製造業の改善提案の進め方を紹介しました。

それぞれの現場いろいろな条件があるので、この記事の内容がすべてではないですが、少しでも当てはまる内容があれば参考にしてください。

改善提案書は企業の生産性向上のカギと紹介しましたが、それだけではなく提案を出した人の成長の証しであり、その記録になります。

ある企業の社長は辞める社員に対して餞別として、退職する社員が書いた改善提案書のコピーを渡していました。

その社長は「次の会社に行った時、その改善提案を見せて自分をPRしなさい。また自信が無くなったら、その提案書を見返して自信をもってください」と言って送り出します。

まさに、その人の履歴書でもあり、頑張って働いた証しなのでしょう。

ものづくりは人づくり、モノづくりで幸せになる。

改善提案は幸せになる手段の一つになりますよ!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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