ものづくり

【板金加工業必見！】パンチレーザ複合機の選び方

板金加工の工場で始めとなる工程のブランク加工でどんな機械を使っていますか？

今はレーザ加工が多くなってきていますが、プレス加工の延長線上にあるパンチング加工とレーザ加工が合体したパンチレーザ複合機という機械があります。

この機械はとても便利ですが、金額が高いことで導入には慎重になってしまい、さらには板金工作機械メーカーからいろいろなタイプの物も出ており、さらに迷ってしまします。

この記事はパンチレーザ複合機を選ぶ時のポイントを紹介します。

この記事を書いている人

  • 当ブログ「アキシブログ/AKISHI blog」の管理人
  • 産業機械メーカー（中小企業）の管理職を22年経験
  • 板金加工機械を購入するために情報収取業務を1995年ごらから行っています
  • EUROBLECH（ヨーロッパ板金機械展示会）へは2010年から見学に行っています
  • 企業の中でパンチレーザ複合機を検討、購入していました
  • 工作機械が大好きです

この記事を読んで欲しい人

  • 製造業の経営者・管理者や作業者
  • ブランク加工機を検討している人
  • 板金加工の検討をしている人
  • 機械に興味がある人

パンチレーザ複合機とは

ブランク加工の自動機は、パンチングマシンから始まり、レーザ加工機が生まれ、この記事のパンチングマシンとレーザ加工機が合体したパンチレーザ複合機が誕生しました。

物を合体させるのがうまい日本メーカが進化させた機械です。

パンチ加工の低コストとレーザ加工の自由度で、安く自由度の高い加工を実現できる機械になり、日本の板金加工業の発展を支えてきた重要な機械の一つになります。

各メーカーによってパンチ加工やレーザ加工に種類があり、パンチレーザ複合機と言っても全く違う機械だともいえるでしょう。

パンチレーザ複合機のメリット・デメリット

メリット

  • 加工の自由度が高い
  • すべて一つの機械で加工できる

デメリット

  • 機械の導入コストが高い
  • パンチングマシン単体機に比べてランニングコストが高い
  • レーザ単体機に比べてプログラムが複雑
  • それぞれの単体機に比べ、機械が大きくなる
  • 自動加工の停止確率が高くなる
  • 加工が遅い場合がある
  • 故障の可能性が高くなる

デメリットが多く不安になりますが、それ以上にメリットが上回り導入後の生産性は高くなる企業が多い機械です。

パンチレーザ複合機を購入するときの検討項目

①対象ワーク

今まで、パンチングマシンやレーザマシンの単体機で加工できたワークは、ほぼ加工ができると考えてもいいでしょう。

ただ、機械選定時、今まで使っていたパンチやレーザの方式を変更しない限り加工できますが、加工機メーカーを変更する場合は注意が必要です。

メーカを変更する場合は、メーカーでテスト加工を行い確認をお勧めします。

新たなワークがある場合も同様で、テスト加工をした方が無難でしょう。

パンチ加工のダレが必要なワークは注意が必要です。

②生産スピード

生産スピードは要注意です。

これは、最新の単体機と比べるとかなり遅い可能性があります。

しかし、古い機械の入れ替えなら、性能UPした機械になり加工スピードは速くなる可能性があります。

機械メーカーのタイムスタディーは精度が悪いですが、参考にはなるので比較してみると良いでしょう。

これも選定するパンチレーザ複合機によってかなり違ってきます。

いろいろな機械を検討する場合は、すべての機械に対しタイムスタディーを要求するようにしてください。

③オペレーター

プログラムオペレーターは単体機のプログラムより難しいプログラムを作ることになります。

しかし、各社とも自動プログラミングが完成しつつあるので、ある程度のプログラムは自動で出来ますが、少しこだわったプログラムを作る場合は、技術が必要になります。

まだ、AIで全自動とまでとはいかないようです。

加工作業者はパンチとレーザの両方をメンテナンスしなければならないので、教育と訓練が必要です。

④場所

機械が大きくなるため、相当広い場所が必要になります。

パンチは大きな音を出すので、騒音が気になる場所は難しいでしょう。

レーザは細かな粉塵が発生し集塵機で回収が追い付かない場合、工場内が汚れる原因になります。

また、レーザがファイバーレーザの場合、人体に有害なレーザ光線が発信されるため、それらをカバーする囲いが必要なり、それが機械を大きくする原因にもなります。

⑤費用

導入金額は高いですね。

単体機を2台買うよりは安いかもしれませんが、一台当たりの単価が高いため生産性と償却を考えると微妙な結果になる企業もあるでしょう。

意外と付帯設備（水、ガス、電気、コンプレッサー、チラーなど）が多く、なんだかんだで結構な金額になります。

ランニングコストも単体機より高額になる可能性があるので注意が必要です。

⑥その他

私は複合機が燃えた（火災）にあった事例を2社聞いたことがあります。

これは、加工条件が相当厳しかったことや、機械の清掃状態が悪かったことが原因ですが、機械が燃えることもあることは覚えておきたいですね。

まとめ

パンチレーザ複合機はとても便利な機械です。

この記事を購入の参考にしていただき良い機械を購入してほしいですね。

ただ、ほんとに生産性が向上するのかは、わかりません。

日本だけが複合機が売れていてヨーロッパなどでは複合機があまり売れていないことも事実です。

これは、日本が多品種少量生産を得意とする理由の一つかもしれません。

このことから、やはり自社の対象ワークや生産数などをしっかり見て、購入を検討することをお勧めします。

最後まで読んでいただきありがとうございいます。