【板金加工】2022年 ロボット付きプレスブレーキメーカー3選+α

あなたの会社は曲げ工程がネック工程ではありませんか?

板金加工工場では板を曲げる工程(曲げ工程)があります。

この曲げ工程は、プレスブレーキ(ベンディングマシン)で行われることが多いのですが自動化が難しく、多くの企業ではプレスブレーキ1台に対し、1人の作業者をつけており、非常に生産性が悪い工程となっています。

この曲げ工程を自動化する仕組みの一つにロボット付きプレスブレーキシステムがあります。

曲げ工程の自動化を検討している方へ、選定条件やメーカーを紹介します。

この記事を書いている人

  • 当ブログ「アキシブログ/AKISHI blog」の管理人
  • 産業機械メーカー(中小企業)の管理職を22年経験
  • 板金加工機械を購入するために情報収取業務を25年行っています
  • EUROBLECH(ヨーロッパ板金機械展示会)へは2010年から見学に行っています
  • 企業の中でロボット付きプレスブレーキを検討、購入していました
  • 工作機械が大好きです

この記事を読んで欲しい人

  • 製造業の経営者・管理者や作業者
  • ロボット付きプレスブレーキを検討している人
  • 板金加工の検討をしている人
  • 機械に興味がある人

ロボット付きプレスブレーキとは

プレスブレーキでの曲げ加工は、段取りが9割といわれているほど、付加価値加工の割合が少ない加工です。

具体的な加工工程はこんな感じです。

  1. プログラム作成
  2. 金型交換
  3. 原点合わせ
  4. 曲げ加工

加工品が変わるたびに、1~4を繰り返します。

1~3が全体の9割になる時もあり、加工ロットが少ないと、一日のほとんどが段取りになることもあります。これを作業者が行うわけですから、生産性はとても悪いです。(機械メーカーによっては2と3が逆になる場合があります)

ロボット付きプレスブレーキはプログラム作成をオフラインで行い、2~4を作業者無しで自動で行うことができる設備です。

ロボット付きブレーキプレスのメリット・デメリット

メリット

  • 作業者がいなくても加工ができる
    • 安全な加工になる
    • プレス金型交換などの資格などを保有する人を減らせる
    • 人件費削減(熟練工がいなくてもOK)
  • 金型段取りが自動(機械によっては手動)などで、技術が必要ない
  • 曲げ加工の品質が安定しやすい
  • 生産予定がたてやすい

デメリット

  • プログラムが難しい
  • 曲げの技術がなくなる
  • ロボットに制限があり出来ない加工が増える
  • 安全確保のため、ある程度広さの場所が必要
  • 機械購入金額が高い

ロボット付きプレスブレーキを購入するときに検討する項目

①対象ワーク

デメリットにもありますが、ロボットでワークをつかんで曲げ加工を行うことになるので、つかめないものは曲げれません。

  • 板が小さい/大きい
  • 大きな抜き窓が開いている
  • 板が薄い、厚い
  • 曲げ形状が複雑

これらは、ロボットのつかむ部分や、ロボット自体の大きさでクリアできることもありますが、専用になる可能性もあり注意が必要です。

現時点でのロボットでは、人間の柔軟な対応力にはかなわないですね。

②生産数(生産ロット)

どれだけの数を生産するか?を確認する必要があります。

ロットは大きければロボットとしても段取りが少なくなるので出来るだけロットは大き方が有利ですが、とてつもなく数が多い場合は金型自動交換まで必要ないかもしれません。

それは各企業の考え方しだいです。

また、数が増えてこれば、そもそもプレスブレーキで加工するものかを検討しても良いでしょう。

問題になるのは、数が少ない場合です。

試作品加工やロット1個などの場合はロボットのプログラム作成やその他の準備で時間がかかり、作業者が直接プレスブレーキで曲げた方が良い場合の方が多いですね。

生産数(ロット)は重要な検討項目の一つになります。

③オペレーター(作業者)

実際に曲げ加工を行う人は不要になりますが、プログラムを作る人は必要になります。

最近の機械は曲げの経験が無くてもある程度のプログラムを作れるようにはなっていますが、品質の高いものを効率よく安定的にロボットで生産するには、やはり曲げ加工の経験者がロボットプログラムを作るとかなり違ってきます。

熟練者の経験と勘をロボットと融合させるイメージですね。

④場所

安全を配慮して、かなり大きなスペースが必要です。

機械を自動化すれば、どの機械でもスペースはいりますが、ブレーキプレスの場合ワークを振り回すことから、更に大きなスペースが必要な場合があります。

工場のスペースに余裕がないと、「物流が悪くなり曲げ加工の効率は上がったが、物流効率が悪くなった」ということにならないようにしなければなりません。

スペースは余裕を持って検討が必要です。

⑤導入費用

経営者は導入費用が気になりますよね?

現在は各社コストダウンしており、昔よりかなり購入しやすい金額になっていますが、プレスブレーキ単体機しか購入したことがない企業が、ロボット付きプレスブレーキの見積もりをもらうと驚きます。

企業の問題がこの金額で解決できるのか?それともこの金額をだすなら、他の方法で解決するのか?

費用対効果は経営者の悩みどころですね。

おすすめメーカー3選+α

アマダ(日本)

日本で板金加工業を行っている人で知らない人はいないくらいの大きなメーカーです。

ロボット付きプレスブレーキは大きく分けると2種類になります。

大型機と小型機です。

この2機種はコンセプトが全く違うので、それぞれの企業にあったものを選択します。

サービス体制やメンテナンス部品の供給などを考えると、国産のアマダは良いメーカーでしょう。

国内での販売実績もかなりあります。

トルンプ(ドイツ)

ドイツの板金加工機メーカーです。日本国内でも板金加工機の販売数はかなりあります。

ロボット付きプレスブレーキは大型と小型の2種類になります。

安全面はヨーロッパ規格なので、かなり安全ですが、それが故障の原因にもなりかねます。

スペースも大きく必要で、金額もそれなりになります。

バイストロニック(スイス)

スイスのメーカーです。数年前に日本での機械販売を再開しました。

ロボット付きプレスブレーキは、日本では小型機のみの販売のようですが、ヨーロッパでは大型機も販売しています。

最大の特徴はロボットとプレスブレーキが分離し、臨機応変に使えることです。

ロボットはKUKAを使っていて、ロボットの繰り返し精度も信頼できます。

ただ、日本国内の販売実績が少ないことと、サービス体制が弱いことが気になりますね。

その他メーカー

ヨーロッパ・中国・トルコのメーカーがロボット付きプレスブレーキを生産していますが、どのメーカーも日本国内で使うとなるとかなりハードルは上がります。

機械オペレーションが英語だったり、メンテナンスが出来なかったりで、日本で使うと生産性は悪くなる可能性が高いです。

しかし、世界中でプレスブレーキの自動化の需要があり、現時点でも世界中で使われていることは認識するべきでしょう。

〈おまけ〉サファン

このメーカーが日本国内で購入でき、メンテナンスできるかはわかりませんが、とても面白い機械を販売しています。

通常ロボットはブレーキプレスの前にあるのですが、そのロボットは地面に置くタイプではなく、プレスブレーキにぶら下がっている形になります。機械の足元はスッキリしていますし、ロボットがセットになっているので、移設してもすぐに使えます。

ヨーロッパの人たちの発想には驚かされますね。

aki

ヨーロッパの人たちの発想には驚かされますね

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。

ロボット付きプレスブレーキについて紹介しました。

ロボット付きプレスブレーキが使えるかは各企業の仕事内容によって変わってくるでしょう。

板金加工会社の中にはロボット付きベンダーを買ったものの使いきれず、来客の時にだけ動かす「見せ物」になっている企業があります。

今回紹介した内容をもとに、各メーカーと協議し検討することをお勧めします。

もう少し具体的な内容が知りたい場合は、お問い合わせからご質問をお待ちしています。