生産性向上となぜなぜ分析
企業が存続・発展していくためには生産性向上が必要で、その手段の一つに改善があります。
改善は世界でも「KAIZEN」と呼ばれるまで、国際的に認知され、日本でも多くの企業が改善活動を行っています。
改善活動を「問題のない作業をやり易い作業に変えること」と定義している企業が、たまに見受けられます。
しかし、不具合や問題を解決することも十分な改善になり、むしろ、それらを解決(改善)した方が生産性向上に繋がる場合が多くあります。
生産性向上を行うために、今回は問題解決の手法の一つである「なぜなぜ分析」を紹介します。
この記事を読み実践することで、あなたの会社でも問題解決を行い生産性を向上を目指してください。
この記事を書いている人
- 当ブログ「アキシブログ/AKISHI blog」の管理人
- 産業機械メーカー(中小企業)の管理職を20年以上経験
- メーカーにて部下育成を行うと同時に部下育成方法を指導していました
- モノづくり現場の人材教育、生産性改善などのセミナーで講師を務めています
- モノづくりと人づくりが大好きです
この記事を読んで欲しい人
- 製造業の管理者や管理者候補、一般作業者
- 製造業の問題解決に悩んでいる人
- なぜなぜ分析に興味がある人
- 生産性向上を図りたい人
なぜなぜ分析とは
「なぜなぜ分析」とは、不具合発生に至った事象を論理的に「なぜ?(Why)」を繰り返すことで効率的に要因を掘り下げ、最終的には真因をつかみ、対策を立てることができる手法です。
一般的には「なぜを5回」繰り返すと言われていますが、5回に深い意味はなく、5回くらい繰り返せば、真因にたどり着く場合が多いと言われいます。
私の経験では、4回でも十分真因にたどり着くこともありました。
問題解決を行う上で大切なのは「原因を分析」することです。
人は問題が発生すると、直感的に対策を考えてしまいます。
直感的対策は対処療法的な対策になる場合が多く、本質的抜本対策でないことがあります。
対処療法的対策は問題の裏返し、または表面だけを見た対策となり、再発率は高くなる傾向があります。
これでは問題解決したとはいえません。
問題解決を確実にしたいのならば、本質的抜本対策が必要になります。
原因分析を行い、分析の結果「真の原因」をつかむことが出来れば、本質的抜本対策も出来る可能性は高くなります。
ここまでできれば問題は解決するでしょう。
なぜなぜ分析の注意点
なぜなぜ分析の注意点
「なぜ?」という言語による分析方法ですが、やはり「現地・現物・現実」の三現主義に基づき、徹底的に掘り下げる必要があります。
しかし、掘り下げに失敗すると全く解決できない分析になってしまうので注意が必要です。
掘り下げに失敗するパターンとして
- 対象があいまい
- 事実に基づいていない
- 責任転嫁や犯人探しになっている
- 他人ごとになっている
- 他の人の意見を聞かず、一人で考えてしまう
- 感情が入ってしまう
など
なぜなぜ分析で一番重要な掘り下げを間違わないためにも、これらのことを意識して進めます。
ある企業で、製造現場で問題が発生しているのに、なぜなぜ分析を遠く離れた会議室で行っている会社がありました。
その様子を見ていましたが、なぜを繰り返すときに「○○だろう」、「○○だったかもしれない」、「○○らしい」などの仮説だけで進めると、必ず失敗します。
出来るだけ三現主義で仮説は必ず検証するようにしましょう。
また、なぜなぜの結果を人の責任として、人だけに注目した「なぜなぜ分析」は必ず失敗します。
さらにこれは、再発します。
原因を人にせず、仕組み(システム)の問題にしてください。
人の努力のみで解決する対策は、長続きしない対策になります。
「気合と根性で何とかしろ!」なんて言ってないですよね?
具体的なやり方
- 数人のチームで検討します
- まず、事象(問題など)に対して「なぜ?」と問いかけます。
- 1回目の「なぜ?」に対し回答が事象の場合は、その事象に対してさらに「なぜ?」と問いかけて進みます。出来るだけ見たままの言葉で表現することがポイントです。
- 事象でない場合、仮説を立て、その仮説を検証します。(横展開) この検証を行わず、仮説のまま「なぜ?」を繰り返すと失敗します。
- 仮説を立てた場合、いくつもの仮説を考えることが必要です。(縦展開)考えられた仮説はすべて検証し、事象なのかを見極めます。
- 仮説は検証によって消されることもあります。(見極め)
- 5回の「なぜ?」を繰り返し真因にたどり着けば対策を考ます。全てにおいて5回繰り返す必要はないです。「なぜ?」をやめるタイミングは議論が弾めなくなる、雑談が入る、仮説の内容が現実離れになり過ぎているなど、これらのことになれば一旦打ち切ることになります。
文章ではかなりわかりにくいですよね。
下記のイメージ図を見てください。
なぜなぜ分析イメージ図
縦展開の考え方
人は原因(要因)を一つに絞り込んで考えてしまいがちです。
縦展開の例題として「会社に遅刻した」という問題に対して縦展開の考え方を紹介します。
会社に遅刻した理由は「寝坊した」ということで、対策は寝坊しないように「早く寝る」対策にしました。
単純に睡眠時間の長さが足りないから寝坊したと直感的に考えた対策です。
これだけではない気がします。
寝坊した理由が朝起きれなかったとしたら、睡眠時間の長さ以外にも
- 暑くて寝れなかった
- 体調が悪く寝れなかった(起きれなかった)
- 疲れていた
- 目覚まし時計が壊れていた
- 寝ぼけていた
などが考えられます。
暑くて寝れなかったなら、早く寝ても眠れないので、対策は「エアコンをつける」などに変わってくるでしょう。
1回目のなぜでこの5項目を導き出すことが重要でこれが縦の展開になります。
そして、それぞれをさらに検証し、個々に「なぜ?」を繰り返すことになります。
真因対策と再発防止
「なぜなぜ分析」によって真因をつかめたら、その真因に対し対策を検討します。
対策は一つと限らないで、いろいろな発想から有効な対策を導き出します。
改善のフレームワークECRSで検討することも有効です。
- E 排除(Eliminate)
- C 結合(Combine)
- R 再配置(Rearrange)
- S 単純化(Simplify)
この4つの視点で、検討し問題を改善できる対策を導き出します。
また、対策は有効性や実行しやすさ、費用などを評価し、決めていくことも必要です。
真因がヒューマンエラーとなったときは、そのヒューマンエラーを分析する必要があります。
ヒューマンエラーについては別の記事で紹介します。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
なぜなぜ分析を紹介しました。
よくある質問ですが、「なぜなぜ分析」を行っても答えが出ない(対策が出ない)。
そうなんですよ。
「なぜなぜ分析」は要因解析です。
これで真因をつかむことが出来るだけで、対策は出ません。
しかし、真因をつかめば的を得た対策を打つことが出来ます。
なぜなぜ分析を使って分析して問題を解決することで、生産性を高めていきましょう。
最後まで呼んでいただきありがとうございます。
あなたの会社では、生産性向上の活動はどんなことをしていますか?