製造業では改善を推進する姿をよく見ます。
改善推進委員会を作ったり、改善提案制度を設け改善活動を促す企業も多いですね。
しかし、なぜ改善しなければならないかを明確に説明している企業が少なく、改善が最終目的になってしまっている企業が多いのではないでしょうか?
この記事では、私の経験をもとに改善の先にある真の目的を紹介します。
この記事を書いた人
- 当ブログ「アキシブログ/AKISHI blog」の管理人
- 産業機械メーカー(中小企業)の管理職を22年経験
- モノづくり現場の人材教育、生産性改善などのセミナーで講師を務めています
この記事を読んで欲しい人
- 製造業の管理者や作業者
- モノづくり現場にて改善の必要性を知りたい人
- 改善提案を出したい人
- 企業の改善提案を推進している人
- 生産性向上のため改善改善提案を出してもらう仕組みを構築したい人
企業の目的は?
まずは企業の使命を確認します。
企業の使命の一つは「顧客に満足していただける製品やサービスを提供すること」となります。
さらに、企業には多くの利害関係者が存在し、それぞれに様々な成果が求められます。
株主には安定した株価と高配当を求められ、従業員は充実した生活をしなければなりません。
協力会社などの取引先にはWin・Winの関係を構築、継続し、社会には納税や社会貢献、最近では環境問題への取組などが求めれられます。
これらすべてを達成することが企業に求められ、すべてを達成することが企業の目的になります。
企業の使命は顧客のためだけではないですよ。
企業の目的を達成するためには利益必要
企業の目的は様々な利害関係者の要求を満たすことになりますが、それを行うためには会社が継続する仕組みが必要です。
会社を継続するために、必ず必要なものが「利益」になります。
そして、この「利益」は企業が目的を達成するためにも必ず必要になるものです。
NPO法人などは利益の分配方法が違うので今回の考え方が当てはまらないこともありますが、通常の企業では利益を重視します。
ただ、利益重視の考え方が強すぎて、利益から入る企業が多いのではないでしょうか?
利益は顧客や利害関係者の要求を満たすための「手段」という認識を忘れないようにしてください。
手段ということを忘れた経営者や管理者は「利益を出せ!」とだけ言い続けます。
これでは従業員は意味が分からず疲弊していきますよね。
利益はどうやって出すの?
企業は顧客に満足していただける製品やサービスを提供することで対価として、お金をもらいます。これは「入ってくるお金」売上ですね。
しかし、顧客に満足していただける製品やサービスを提供するためには、経費が必要になります。
経費とは製造業なら材料代や作業者の人件費、工場や設備の様々な費用、更に税金などもあります。これは「出ていくお金」になります。
大まかに言うと
入ってくるお金(売上)-出ていくお金(経費)=利益
になります。
残ったお金が利益ですよ!
製造業の利益を増やす方策
利益を増やすには3つの方策があります。
- 数をたくさん売る
- 売価を上げる
- 製品やサービスに要する費用を下げる
この3つになります。
①と②は売上UP、③はコストダウンですね。
①と②ですが、売上を大きくしようとするときに、営業戦略や販売戦略、製品開発などを行いますが、どうしても顧客の判断に影響されます。
しかし、③のコストダウンは自社で今すぐにでもできる内容です。
この記事は製造現場向けに紹介しており、読まれる方も、ものづくりに近い方が多いでしょう。
価格競争や消費の拡大の時代は終わりつつあります。
出ていくお金を減らすため、ものづくりでコストを下げて利益を増やすことは最も有効な手段になるでしょう。
③はすぐに始められますよ!
改善はコストダウンの方法の一つです
提供する商品やサービスを作り出すために、顧客には見えないものが多くあります。
特に生産現場では商品がどのようにつくられているのかは顧客が知らないことが多くそこに無駄があっても顧客にはわかりません。
しかし、その無駄がコストアップの原因なら、無駄をなくすことが重要です。
ようやく改善が登場です!
改善の定義を「より好ましい・望ましいものへ改めること」とするならば、無駄をなくすことは、より好ましい・望ましいものへ改めたことになります。
製造業の作業の改善はコストダウンの方法の一つになります。
改善は、会社が目的を達成する手段ですよ!
改善はホームランではなくシングルヒットを量産する
改善を取り組むとき、革新的なものづくりの提案を望む方がいます。
それは改善ではなく改革レベルではないでしょうか?
管理者が高レベルの改善を求めたり、たまたま革新的なアイデアで改善してしまったときに、その後の改善のレベルが低く感じてしまうと、改善はやりにくくなります。
企業のレベルにもよりますが、一般的には小さな改善を行ってもらうことを心掛けることが大切です。
野球で例えるなら、ホームランは求めずにシングルヒットを量産してもらい、大量得点を取るイメージですね。
ホームランを狙い過ぎて打てないよりは確実にヒットを打つことの方がたやすいのではないでしょうか?
作業者に求め過ぎず、ストレスの少ない状態で自由な意見を出してもらい実行すれば、多くの改善ができるようになり、もしかしたら、その中に革新的な改善が生まれるかもしれませんね。
改善提案の記事もあります。是非読んでください!
改善は、まず品質を安定させる取り組みをする
製造業の改善では作業の動作分析を行い、無駄な動きを少なくする取り組みをよく見ます。
私が見たある企業では一日当たり数秒の改善を一生懸命取り組んでいました。
その会社は数円の商品を生産し良品率50%以下のものづくりをしている会社です。
動作分析も大切ですが、まずは安定して良品を作るべきですね。
単価が安い製品だと、廃棄しても無駄とは感じにくいかもしれません。
しかし、一旦生産したということは、生産コストはかかっており、もしかしたら廃棄コストもかかっているのかもしれません。
少しでも良品を多く作ることが大きなコストダウンにつながることがよくあります。 製造業では不良品の割合をよく見ることが改善の進めかたでは重要になってきますね。
まずは、不良品を作らないことを目標に改善してくださいね。
まとめ
改善は変化することになります。
日々変化し、進化することが重要で、何も変化しないことは退化することと同じになります。
製造業は改善(進化)し利益を出さなければ、事業を継続することや、顧客や企業の利害関係者の要求を満たすこともできません。
改善は企業が生き残る手段であることを紹介しました。
この記事を読んで改善の必要性を感じてもらい実践してほしいですね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
実は改善の目的はもう一つあります。
それは、改善は人材育成の手段の一つなのです。
この内容については、別の記事で紹介したいと考えています。
改善提案の進め方の記事もあります。
是非読んでください。
「企業とは?」という基本的な考え方から知ることが大切で、改善を進めたい管理者から働き始めたばかりの社会人の方まで、作業を改善する必要性を理解できる記事になっています。