「レーザーの自動化は進んだが、曲げ工程がボトルネックになっている」 「ベテランの曲げ職人が引退したら、うちはどうなるのか……」
精密板金加工の現場において、今最も経営者が頭を悩ませているのが「曲げ工程の自動化」ではないでしょうか。レーザー切断に比べ、形状やサイズが多様な曲げ加工は自動化のハードルが高いとされてきました。
しかし、近年のロボット技術とソフトウェアの進化により、その常識は変わりつつあります。今回は、曲げ自動化の「現在地」と、導入を見極めるポイントを解説します。
1. 「量産」から「単品多品種」の自動化へ
これまでの自動曲げ機(ベンディングロボット)は、一度ティーチング(動きの覚え込み)をすれば数千個、数万個を流す「量産向け」が主流でした。
しかし、最新のシステムではCADデータから自動でロボットの動きを生成するソフトが登場し、「たった数個の注文」でも自動化の土俵に乗るようになっています。
- 自動金型交換(ATC): 機械が自分で金型を並べ替える
- 自動プログラミング: 職人がつきっきりで教える必要がない
「多品種だからロボットは無理」という時代は、すでに終わりを迎えています。
2. ロボットが得意な仕事、人がやるべき仕事
とはいえ、すべての曲げをロボットに任せられるわけではありません。投資対効果を最大化するには、役割分担が重要です。
- ロボットが得意なこと:
- 重たい大板の曲げ(作業者の腰痛防止・安全確保)
- 単純だが数の多い小物の曲げ
- 長時間の安定した精度維持(疲労によるミスがない)
- 人がやるべきこと:
- 複雑すぎる干渉がある形状
- 非常に薄い、または傷に極端に厳しい意匠品
- 段取りの検証が必要な超難易度の試作品
「全部を自動化する」のではなく、**「単純作業や重労働をロボットに逃がし、人はより高度な判断が必要な仕事に集中する」**という設計が、工場の生産性を最大化します。
3. 自動化の成否は「前工程(データ)」で決まる
曲げの自動化を導入して失敗する工場の多くは、現場のロボットだけを見ています。しかし、実は「上流のデータ精度」こそが成功の鍵です。
- 曲げの伸び値が正確に計算されているか
- 展開図の段階で、ロボットが掴める「逃げ」が考慮されているか
現場で微調整を繰り返すのではなく、パソコンの前で「完璧なデータ」を作れる体制があるか。曲げの自動化は、現場のデジタル化とセットで考える必要があります。
まとめ:自動化は「職人を守るため」の手段
曲げの自動化が進むことで、職人の仕事がなくなるわけではありません。むしろ、単純作業をロボットに任せることで、ベテランの知恵を「より付加価値の高い仕事」や「若手の育成」に使えるようになります。
- 「多品種でも自動化できる」最新技術を知る
- 人とロボットの役割分担を明確にする
- 上流のCAD/CAM体制をセットで整える
人手不足が加速する中で、曲げの自動化は「あれば便利なもの」から「生き残るための必須条件」へと変わりつつあります。
【自社の製品、ロボットで曲げられますか?】
「うちの製品群だと、どれくらい自動化できるのか」「ATC付きのベンダーを入れるべきか、ロボットアーム式か」といった具体的な悩みをお持ちの方も多いはずです。 設備メーカーに聞く前にご相談ください。フラットな立場で、貴社に最適な「曲げの未来」を一緒に考えます。











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