これまで多品種少量の現場における生産性向上や仕組み作りについて多角的に考察してきましたが、それらが実を結ぶかどうかは、最後は経営者の「時間の使い方」にかかっています。
現場の最前線でトラブル対応に追われる日々から脱却し、会社を持続的に成長させるために、経営者はどこに境界線を引くべきか。その核心についてお話しします。
1. 経営者が「やってはいけない」仕事
それは「社長にしかできない作業」を現場に残し続けることです。
- 現場のオペレーションへの没頭: 社長が実作業に従事している間、会社の未来を構想する時間は奪われています。
- 細かな指示出し: 全ての決裁を社長が握っていては、現場リーダーの自律性は育たず、組織の成長は停滞します。
- 「作業者」としての自負を捨てる: 腕が良い経営者ほど現場が気になりますが、社長が現場に居続けることは、実は社員の成長機会を奪っている側面もあるのです。
2. 経営者が「やるべき」仕事
経営者の真の仕事は、現場が「不在でも回る仕組み」を構築し、組織の「進むべき方向」を指し示すことです。
- ビジョンと戦略の策定: 5年後、10年後の自社がどうあるべきかを描き、独自の価値を磨き上げるための旗を振ること。
- 「仕組み」への投資: 属人的な技術を組織の資産に変える「設計標準」の構築やデジタル化など、将来の収益基盤を作る決断を下すこと。
- 文化と環境の整備: 社員が「メイド・イン・ジャパン」の誇りを持ち、自律的に改善活動を行えるような、誠実で前向きな社内文化を醸成すること。
3. 未来へ向けた最初の一歩
現場を離れるのは勇気がいります。一時的に効率が落ちる不安もあるかもしれません。しかし、経営者が「未来を創る仕事」にシフトして初めて、会社は下請けからの脱却を果たし、高収益体質へと変貌を遂げることができます。
経営者として、今日から「未来のための仕事」を一つでも始めること。その決断の積み重ねが、やがて組織全体を動かし、世界に通用するモノづくりを支える大きな力となります。
まとめ:製造業の未来は、経営者の決断にある
モノづくりの本質は、いつの時代も「人」にあります。 経営者が現場を信頼して仕組みを整え、自らは「航海士」として未来の海図を描く。その時、日本の製造業の火はさらに強く、輝きを増していくはずです。 貴社の技術と誇りが、正しい仕組みという翼を得て、さらなる飛躍を遂げることを心より願っております。










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