「機械は壊れるまで使うもの」――もしそうお考えなら、それは経営において非常に大きなリスクを抱えていることになります。特に多品種少量生産の現場では、一台の機械の停止が工程全体のストップを招き、約束した納期を脅かすからです。
今回は、顧客からの信頼を守り、利益を確保するための「予防保全」とメンテナンス計画の重要性についてお話しします。
1. 「事後保全」から「予防保全」への転換
壊れてから直す「事後保全」は、常に最悪のタイミングでやってきます。
- 突発故障の代償: 納期直前の故障は、特急対応の修理費だけでなく、他社への外注費、残業代、そして何より顧客からの「信頼」を失うコストが発生します。
- 計画的なダウンタイム: 週末や閑散期に合わせて、あらかじめ点検日を設定する「予防保全」は、一見非効率に見えても、年間の稼働率を最も安定させる賢い選択です。
2. メンテナンスは「5S」の延長線上にある
5Sの「清掃」と「清潔」を徹底することは、最高のメンテナンスになります。
- 汚れは故障のサイン: 毎日機械を清掃していれば、わずかな油漏れや異音、ボルトの緩みに気づくことができます。「清掃は点検なり」という言葉通り、現場のしつけ(5S)が機械の寿命を延ばし、突発事故を防ぎます。
- 消耗品の管理を仕組み化する: レーザーのノズルや保護ガラス、ベンダーの金型の摩耗状態など、交換基準を明確にし、予備を常にストップさせない体制を整えます。
3. メイド・イン・ジャパンを支える「機械への敬意」
日本の製造業が世界で評価されてきたのは、道具を大切にし、常に最高の状態に整えておく精神があったからです。
- 自主保全の育成: 専門業者に任せきりにするのではなく、オペレーター自身が日常点検を行えるスキルを身につけること。これが、機械の変調をいち早く察知する「現場のセンサー」となります。
- データの蓄積: 過去の修理履歴を記録し、「この部品は2年ごとに交換が必要だ」といった自社独自のメンテナンス周期を導き出す。このアナログな積み重ねが、デジタルの管理(IoT)をさらに活かす土台となります。
まとめ:メンテナンスは「未来の利益」を守る投資
メンテナンスに費やす時間と費用は、単なる「経費」ではありません。不測の事態を防ぎ、確実に製品を顧客へ届けるための「保険」であり、会社の信頼を守るための「投資」です。 「今日も機械が快調に動いている」という当たり前の日常を、仕組みによって作り出す。それこそが、強い板金工場を創るための経営者の決断です。










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