板金工場特有の5S。生産性を劇的に変える「端材」と「金型」の戦略的定位置管理

「5Sなんてどこでもやっている」と思われるかもしれません。しかし、板金工場には板金工場特有の、生産性に直結する5Sの急所があります。それが「端材」と「金型」の管理です。

この2つが乱れている工場は、例外なく「探しもの」と「再製作」の無駄にコストを奪われています。今回は、これらを「利益の源泉」に変えるための管理術を深掘りします。

1. 「端材」を宝の山にするか、ゴミの山にするか

多品種少量生産において、端材の活用は歩留まり向上の鍵です。しかし、管理が不十分だと、端材を探す時間に数十分かけたり、見つけた端材が傷だらけで使えなかったりと、かえって赤字を生む原因になります。

  • 「使える端材」の基準を明確にする: サイズ、材質、板厚。これらが一目で分からない端材は、現場の迷いを生みます。例えば「縦横150mm以下は即廃棄」など、明確なルールを徹底します。
  • 「見える化」と「鮮度管理」: 材質ごとに色分けされた棚に、サイズ順に立てて保管します。また、長期間使われなかった端材は定期的に「捨てる」決断をすることも、スペースという資源を守るために不可欠です。

2. 金型管理は「歩行の無駄」をゼロにするためにある

以前お話しした「移動と作業の違い」を最も象徴するのが金型交換です。金型を探し回る、あるいは遠くの棚まで取りに行く時間は、1円の価値も生んでいません。

  • 使用頻度による配置(A-B-C分析): 毎日使う標準的な金型は、機械のすぐ隣、一歩も動かずに手が届く「コックピット型」の配置にします。たまにしか使わない特殊型は、少し離れた定位置へ。
  • 「戻し間違い」を防ぐ仕組み: 金型に番号を振り、棚側にも同じ番号を明記するのは基本です。さらに、形を縁取った「シャドーボード」などを活用すれば、誰でも一瞬で元の場所に戻せ、欠品にもすぐ気づけます。

3. 「メイド・イン・ジャパン」を支える5Sの精神

私たちが誇る「日本品質」は、整えられた環境からしか生まれません。

  • 金型のメンテナンスは品質の源: 5Sの「清掃・清潔」は、パンチング金型の刃先管理(研磨タイミングの把握)でもあります。手入れの行き届いた金型は、製品のバリやキズを防ぎ、手直しの工数を最小化します。
  • 現場のプライド: 整然と並んだ端材、美しく管理された金型。その景色そのものが、そこで働く社員の誇りとなり、顧客への信頼(ブランド)へと繋がっていきます。

まとめ:5Sは「掃除」ではなく「利益確保の仕組み」

板金工場の5Sとは、単に床を綺麗にすることではありません。「必要なものが、必要な時に、最高の状態で取り出せる」状態を作ることです。 端材と金型の管理を徹底し、現場の「迷い」と「探しもの」をゼロにする。この一歩が、貴社の利益率を確実に押し上げます。