板金工場が生産性を上げられない本当の理由とは?「忙しいのに利益が出ない」からの脱却

「うちは単品多品種だから、効率化なんて限界がある」 「現場はみんな一生懸命動いているのに、なぜか納期がカツカツだ」

精密板金工場の経営者や工場長から、こうした声をよく伺います。 実は、多くの板金工場が生産性を上げられない理由は、技術力の不足ではなく、「現場の“忙しさ”の正体」を見誤っていることにあります。

今回は、生産性が停滞している工場に共通する「3つの本当の理由」を紐解いてみましょう。


1. 「稼働率」という言葉の罠にハマっている

多くの工場では「機械を止めるな」と指示が出ます。しかし、ここに大きな落とし穴があります。 生産性が上がらない工場では、「次に使うかどうかわからない仕掛品」まで、機械を動かすために加工してしまっていることが少なくありません。

  • 本当の生産性: 注文された製品が最短で出荷口に届くこと
  • 間違い: 機械を100%動かし続けること(=余計な在庫を作る)

「動いている=仕事をしている」という思い込みが、現場を仕掛品で溢れさせ、結果として「探し物」や「二度手間」という最大のムダを生んでいます。

2. 「段取り」を個人のスキルに頼りすぎている

板金加工の肝は「段取り」です。しかし、生産性が低い現場では、段取りが「熟練工の勘と経験」というブラックボックス(属人化)になっています。

  • 「あの人じゃないと、この複雑な曲げはできない」
  • 「あの人がいないと、金型がどこにあるかわからない」

こうした特定の人に依存した状態こそが、工場の流れを止める最大のボトルネックです。生産性の高い工場は、技術を個人の持ち物にするのではなく、標準化によって「誰でも一定のスピードで準備ができる仕組み」を構築しています。

3. 「情報の移動」が「モノの移動」より遅い

意外と見落とされるのが「情報の遅延」です。現場をよく観察してみると、加工そのものよりも、以下のような時間に多くの工数が割かれていないでしょうか。

  • 図面を探す時間
  • 前工程の進捗を確認しに行く時間
  • 設計への問い合わせ待ち(指示待ち)

モノを切ったり曲げたりしている時間以外、つまり**「考えている時間」や「迷っている時間」**が、実は工場の1日の大半を占めているケースが多々あります。生産性が上がらない本当の理由は、加工技術ではなく、加工の前後に発生する「情報の渋滞」にあるのです。


まとめ:生産性改善の第一歩は「ムダの見える化」から

板金工場の生産性改善は、必ずしも「高価な最新機械を入れること」だけではありません。

まずは、現場で「モノが止まっている時間」と「人が迷っている時間」どれくらいあるのかを直視することから始まります。これらは加工技術の差ではなく、「管理の仕組み」の差です。

「うちはもっとできるはずだ」と感じているなら、まずは機械の回転数ではなく、現場の「立ち止まっている時間」を観察してみてください。そこに、利益率を劇的に変えるヒントが隠されています。