板金工場を経営する上で、設備投資は最大の決断の一つです。「最新鋭の新品を導入して勝負に出るか、中古機で初期投資を抑えて手堅くいくか」という悩みは、多くの経営者が直面する課題です。
しかし、この判断を単なる「購入価格の差」だけで決めるのは危険です。今回は、財務と戦略の両面から、後悔しない設備選定の基準を深掘りします。
1. 「新品」を選ぶべき戦略的局面
新品の最大のメリットは、最新のテクノロジーと「信頼性」です。
- 差別化と高付加価値化: 例えば、最新のファイバーレーザーや、高精度な自動化ベンダーでなければ不可能な加工がある場合。他社が持っていない「技術的優位性」を武器にするなら、迷わず新品です。
- 税制優遇と補助金の活用: 「中小企業経営強化税制」による即時償却や、各種補助金を活用できるのは、多くの場合、最新の新品設備です。実質的な購入コストを大幅に下げられる可能性があるため、キャッシュフローのシミュレーションが不可欠です。
2. 「中古機」が正解となる財務的視点
一方で、中古機が経営を支える強力な味方になるケースも多々あります。
- 補完的な役割: メイン機ではないが、特定工程のボトルネックを解消したい、あるいは「バックアップ機」として低頻度で使いたい場合。初期投資を抑え、借入リスクを低減できる中古機は非常に合理的です。
- 早期の投資回収: 流行り廃りの激しい製品や、短期間で回収を終えたい案件には、償却期間が短い(または価格が安い)中古機が向いています。財務基盤を揺るがさずに生産能力を拡大できるメリットがあります。
3. 見落としがちな「トータルコスト」の罠
価格だけで比較する際に、最も注意すべきは「目に見えないコスト」です。
- 修理リスクと部品調達: 中古機は故障のリスクが高く、古い機種だとメーカーの部品供給が終わっていることもあります。修理待ちで機械が1ヶ月止まった時の損失を考えれば、結果として新品の方が安くつくこともあります。
- 生産効率の差: 10年前の機械と今の機械では、加工スピードや電気代、ガス消費量が全く異なります。ランニングコストを含めた「1個あたりの加工単価」で比較することが、賢い経営者の視点です。
まとめ:機械は「手段」であり、「目的」ではない
新品か中古か。その答えは、貴社の「未来の姿」にあります。 「この機械で、誰を幸せにし、どの市場で勝つのか」。その明確な戦略があれば、自ずと選ぶべき一台は見えてくるはずです。大切なのは、購入価格に惑わされず、その機械がもたらす「未来の利益」を正しく見積もることです






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